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その他の有職造花
九州サミットの晩餐会や高級料亭の玄関飾りとして、有職造花が使われています。
和食での晩餐会の前菜飾りとして制作した有職造花は、開催の季節に合わせて七夕飾りを制作しましたが、短冊には大國主尊の娘玉照姫の歌「天なるや おと七夕のうながせる 玉のみすまる みすまるに」を五枚に分けて仮名書きしてみました。下の土盛りは、桐に岩絵の具・純金泥で彩色したものです。
高級料亭の会席料理の前菜台に中央に乗せる有職造花は、会席料理の季節に合わせて作られます。州浜台上に、その季節に相応しい有職造花を置き換え、前菜を周囲に並べます。
『菖蒲飾り図』(懐石料理前菜置台飾 造花部高さ約30cm)
菖蒲の前菜飾り
端午の節句頃の懐石料理の前菜を並べる台に乗せる飾りとして制作したものです。檜を流水形に抜いた表面に純金泥を塗り、八つ橋の両脇に二種の花菖蒲を植えましたが、池からつんと出た竹竿を添え、その天辺に花菖蒲の頃に飛ぶ小さなトンボを止まらせてみました。羽根は薄絹です。



『七夕飾り図』(九州サミット晩餐会使用品)
(造花部高さ約36cm)

重陽の前菜飾り
重陽節の頃の懐石料理の前菜飾りです。赤・白・黄三色の菊を奇数個を配してあります。土盛りは桐本体に岩絵の具と純金泥で彩色してあります。前菜台の飾りは前後どちらから見ても見映えがしなければならず、その点は制作上に困難でも、楽しいところでもあるのです。
『重陽飾り図』(懐石料理前菜置台飾)
(造花部高さ約25cm)

『雪椿飾り図(雛形)』
(造花部高さ約15cm)

『秋草飾り図(雛形)』

『秋草図(雛形)』
(造花部高さ約20cm)
雪椿
前菜飾りとして使えるものの雛形でもあります。一度紅椿を作ってから葉や花弁の部分に膠を塗っては、粒子の粗い岩胡粉を振って定着させていく方法で積もる雪にしてみました。これは本来、尺三寸官女の前に据える州浜台に乗せる雪月花飾りのうち、雪として制作したものです。

秋草
これも前菜飾りとして使えます。中秋の懐石料理用の前菜飾りとして、酒井抱一の絵から取材してそのまま制作したものがありましたが、土台を三日月型に抜き表面を銀で塗りました。松の下に芙蓉・ススキ・桔梗・女郎花を植え、純金泥彩色の満月を据えてみました。
四季盛り二種
華やかな装飾としての有職造花は、四季を一つにまとめてしまうなど、造花独特の自由さでデザインすることも出来ます。画像は江戸時代の美人画にある花車から取材して再現したものと、それと対にするため紅葉を中心に四季をまとめ上げてみました。

『四季盛しだれ桜図』
(造花部高さ約45cm)

垂れ桜の立木と紅葉の立木を主体として構成した飾り物ですが、素材は全て絹サテンです。四季を一つに盛るため、あり得ない組み合わせ(紅葉に藤など)が楽しい飾り物になりました。前からだけでなく後ろから見てもそれなりに映えなければならないため、前から殆ど見えない所に撫子を植えるなど、遊び心もあるのです。藤は固定せず、震動に揺れるようにしてあります。

紅葉立木
大きな紅葉ではありますが、木組みに使う木材に恵まれないと、このように紅葉も紅葉にはなりません。有職造花といえど、花や葉がどの様についているかとの観察が重要で、自然の成り立ちに添ったものでなければなりません。下草として、小菊・ススキ・桔梗・お茶・女郎花を植えました。

『紅葉立木図』
(造花部高さ約60cm)

『椿立木図』(造花部高さ約30cm)
様々な八重椿を一本の木に咲かせてみました。速水御舟の代表作を見て思いついたものです。一枚ずつ型抜きした花びらを土台に貼り付けていきますが、花びらの重なった中程が幾分濃い色に見えて、白椿には思いがけない効果も見られました。

『葉桜立木図』(造花部高さ約45cm)
『葉桜立木図』(部分)
『葉桜立木図』(部分)
花が殆ど終わった山桜に興味を持っていた頃、ちょうどいい枝振りの梅古木が手に入ったので作ってみたのです。葉は1700枚以上ありますが、濃淡三色に染めた絹サテンを大小型抜きしてから、一枚ずつ紅をさしてあります。土台に数枚の花びらを散らしてみました。部分図の内、暗いものは蝋燭の光で撮影したものです。

『紅葉の立木図』(造花部高さ55cm)
前作から五年しての本格的な紅葉制作でした。木材は梅の古木。曲がりがあり、細い枝まで堅いので非常に重宝します。色に深みと変化が出るように、何種類か薄く染めた下地に何色も後刺しを繰り返して染めます。幅80cm奥行60cm高さ50cm程ですが、葉数は980枚前後。熱した鏝で一枚に18本前後の葉脈を引いて行きます。どこから見ても観賞に堪える様にしなくてはなりませんが、だからとゴテゴテになってはいけません。葉の角度を一枚ごとにピンセットで調整します。

白梅立木
私の雛コレクションのうち、尺三寸仕丁は、まだ春浅い庭で焚き火を囲み質素な宴会をしている設定です。飾り気に乏しく宴会というのに寂しげに感じていたのですが、ふと思い立って背後に花盛りの白梅立木を置いたらどうかと作ってみたのです。梅は、嶋台やら平薬やらで数々作って来ましたが、立木の制作はこれが初めてでした。私の有職造花制作で使う自然木が梅のことですので、木組みはとりわけ自然に近く出来たのです。花数は五百ほどで、根元に二色の水仙とヤブコウジを植え付けました。
紅梅の庭
おぼこ七寸の立像を立たせる、早春の庭です。「人日行の薬玉」制作で初めて挑戦した南天の成功に気を良くしていた時、おぼこ雛を所有される方から、紅梅に南天、福寿草を組み合わせたら、さぞ色合わせも美しく穏やかな早春の庭が出来るのではないかと提案があり、即座に頭の中にその光景が広がりましたので、おぼこ雛の背丈から紅梅の寸法を二尺に決めたのです。紅梅の薄桃、南天の赤、福寿草の黄という色の組み合わせは、早春の庭の穏やかさを醸し出したようです。

『しだれ桜立木図』(造花部高さ約60cm)
様々な浮世人形を花見や紅葉狩りといった設定で飾るための依頼で制作したものです。極く初期の制作でお恥ずかしい代物ですが、色々な展覧会に登場しているようです。花は960程度だったと思いますが木組みに桜を使ったので、枝振りなど単調に終わっています。下草はタンポポです。 

羽子板
有職造花松竹梅の羽子板(尺8寸)を制作してみました。松も梅も共に梅の古木を用いて、その根元には薮柑子(ヤブコウジ)や福寿草を植え、縁起物にしてあります。竹の葉は、他の用途で染めて型抜きして残った端布を切り出したもので、染め布はそんな風に最後まで無駄にせず使い回します。有職造花は、染色や形状など単に自然界を再現するのではありませんのでそんなことも可能です。この辺りもアートフラワーとは似て非なる物と言えましょう。
壁掛紙包有職造花
松竹梅(本体約25cm) 早梅に水仙(本体約25cm)
壁掛け
檀紙と砂子を散りばめた和紙を折って、そこに季節の有職造花をあしらった飾り物です。茶会の場に掛けたり、正月の部屋飾りとして、手軽に利用出来る有職造花といえましょう。紐も絹です。
四季の嶋台
福井にとても興味深い提案をされるお客様がいらっしゃいまして、四季の嶋台もその一つでした。間口七寸ほどの洲浜台に、四季折々の景色を…とのご要望なのですが、そもそもその方の心象風景なのですし、使って欲しい花の指定しか無かったのですが、何となくその意図が伝わったのです。四季を作り終えてふと気付けば、どれもこれも“風”をテーマにしていました。春風,涼風,野分,海風と、それぞれの風を如何に表すか、それがそのまま季節そのものの表現だったのです。
春の嶋台−「うらうらと」
春の嶋台は、満開の桜の下にスミレとタンポポが咲く春爛漫の光景を…とのご要望でした。しかし、桜立木だけでも洲浜台の幅が六寸という寸法では無理があり、まして野の花との比率などとても叶えられませんから、その辺りはデフォルメというわけです。春もたけなわ、そろそろ散り始めた桜の根元にスミレとタンポポが咲き、その間を春風が花びらを運んで過ぎる…そんな光景です。スミレは依頼者たってのご希望で初めての制作でしたが、可愛いらしく出来て自分でも気に入っているのです。
夏の嶋台−「水面の風」
夏の嶋台は、百日紅と白百合、そして睡蓮でとのご要望。依頼者の憧憬は百日紅にこそ顕著で、何としても百日紅をメインとした嶋台を作って欲しいとの要望ながら、この花はその形状から制作の手懸かりすら持てずにいました。そこで苦肉の策として、花を遠くから見たような塊として捉えてみたのです。有職造花の製法としては材料からして逸脱した代物でしょうけれど、今はここまでなのです。トンボと波紋をあしらいましたが、真夏の昼下がり、水面に渡る一瞬の涼風を感じて頂けるでしょうか。
秋の嶋台−「野分吹く」
秋の嶋台は、紅葉、萩、ススキ、桔梗、野菊で秋の庭の光景をとのご要望でした。萩の盛りと紅葉とは時期にズレがありますから、そこであえて紅葉は立木に作らず、落ち葉にとどめる事にしたのです。散るにはまだ早い紅葉を落としたのは、萩やススキや何もかもを同じ方向に靡かせて駆け抜ける野分です。深秋というには菊も桔梗も鮮やかに過ぎて、なかなか思うような雰囲気が出ませんでしたので、葛の葉と鬱蒼たるススキの葉で草深い庭を演出。ススキには、ウマオイを一匹しがみつかせてあります。
冬の嶋台−「身を寄せて」
冬の嶋台には、一月初旬の越前海岸斜面に群生して咲くという越前水仙が、老松の根元に繁る光景をとのご要望でした。福井に足を踏み入れたこともなく、その水仙すら見たことの無い自分だというのに、地元福井の方からの依頼を受ける事自体が無謀なのですが、どんな光景を頭に浮かべておられるのか簡単に図を描いて頂いたら、イメージしていた光景と酷似していて驚きました。吹き上がる海風に枝を張る一本の老松の下、身を寄せ合って夥しい数の水仙が咲く、越前海岸の冬景色です。

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